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数学の色々とか様々とか

1909 高校入試 比例式の証明

諸官立学校入学試験数学問題並解義. 明治35-42年度 - 国立国会図書館デジタルコレクション
p40 問題, p162 解答(コマ番号)

1909(明治42)第一、二、三、四、五、六、八高等学校 代数(Ⅱ)

 \displaystyle \frac{y+z}{b-c}=\frac{z+x}{c-a}=\frac{x+y}{a-b} なるときは x+y+z=0 なることを示し

各分数は \displaystyle \sqrt[3]{\frac{xyz}{(a-b)(a-c)(b-c)}} に等しきことを証せよ.


比例式の定番ですが, 文字で置くことで結構うまくいくことが多いです。
 \displaystyle \frac{y+z}{b-c}=\frac{z+x}{c-a}=\frac{x+y}{a-b}=k  kは実数)とおく
このとき,
 y+z=k(b-c)…①
 z+x=k(c-a)…②
 x+y=k(a-b)…③
これを足し合わせると消えそうです。
(1個1個足しても以下の式になります。)

①+②+③より,
 2(x+y+z)=0
よって,  x+y+z=0

次に、示すべきものは
 \displaystyle \sqrt[3]{\frac{xyz}{(a-b)(a-c)(b-c)}}
という難しそうな式です。

示した x+y+z=0を用いて
 x+y=-z, y+z=-x, z+x=-yと変形します
このとき,
 \displaystyle \frac{y+z}{b-c}=\frac{z+x}{c-a}=\frac{x+y}{a-b} は,
 \displaystyle \frac{-x}{b-c}=\frac{-y}{c-a}=\frac{-z}{a-b}
と表されて、全部掛け合わせると上の式に近い形になります。

このとき, 全部かけ合わせると
 \displaystyle \frac{-xyz}{(a-b)(b-c)(c-a)}=k^3
より, それぞれの分数は kであるから, 上の式の3乗根が kに等しいはずです。
 \displaystyle k=\sqrt[3]{\frac{-xyz}{(a-b)(b-c)(c-a)}}
あとは, マイナスを c-aに持っていきます
 \displaystyle k=\sqrt[3]{\frac{xyz}{(a-b)(a-c)(b-c)}}

【?】
3乗根は、実数全体で定義されるので
どんな kをとっても大丈夫だと思います。
1つの実数に対して、ただ1つの3乗根が存在し、
逆に1つの3乗根に対して、ただ1つの実数が存在します